動物映画の最高峰! ~ 『PLANET OF THE APES/猿の惑星』を観る

  • PLANET OF THE APES/猿の惑星 [Blu-ray]
    監督:ティム・バートン 出演:マーク・ウォールバーグ / ティム・ロス / ヘレナ・ボナム=カーター / マイケル・クラーク・ダンカン / ポール・ジアマッティ

猿が宇宙船を操縦するなんて可愛い!と感じるかどうかは人それぞれでしょうが、映画は猿が小型宇宙船を操縦しているシーンから始まります。
賢い猿に小型宇宙船の操縦を覚えさせ、危険な探査を人間ではなく猿にやらせようという魂胆なのです。
現実の世界でも猿が宇宙に行きましたが、映画の中でそんなえげつないことをしていたら、そのうち必ずやり返されるだろうことは猿にでも想像がつきます。

そんななかで、主人公のレオ・デイヴィッドソン大尉(マーク・ウォールバーグ)だけは、猿たちにライバル心を燃やしています。
猿に任せるのではなく、オレを出動させろ!と主張します。
そんな自己顕示欲が災いして、彼は時空のねじれに巻き込まれ、挙句に猿が支配する惑星に不時着してしまいます。
その惑星全体が猿に支配されているのかどうかは分かりません。
映画を観ていると、一部の村だけに生息しているように見えなくもありません。
とにかく、彼がたどり着いた地域では猿たちが生態系のトップに君臨し、人間を知性が低い動物として支配しています。

そこに登場する猿たちの種類は様々です。
分かるだけでも、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンがいます。
なぜあらゆる種族が同様に知性を発展させられたのかは不問に付すとして、猿たちは人間とまったく同じ文化を受け継いでいるようです。
具体的には、以下のように描かれています。

  • 英語で読み書きができる
  • 体中が毛むくじゃらにもかかわらず洋服を着て、しかもオシャレしている
  • 人間のようにテーブルを囲んで食事を楽しんでいる
  • 夜の営みは人の目を憚ってするものだとわきまえている
  • カードゲームに興じている、つまり、知のゲームを楽しんでいる etc…

その一方で、猿たちは一様に水を怖がり、体の一部がちょっと濡れただけでも、尋常とは思えないほどパニックを引き起こします。
その様子を見て、我々は、「やっぱり猿だなぁ、いくら生意気なことを言ったって」と、やわらかな笑みを抑えることができません。

知能の低い動物が、人間の感情になぞらえて振る舞う姿に感動するのが「動物映画」だとすると、これはもう「動物映画の最高峰!」と言わざるをえません。
そんな視点で本作を見直すと、猿たちが食卓を囲むシーンが、ディズニーリゾートのアトラクションに見えてどうしようもありません。
だから僕は、『プーさんのハニーハント』に何度も乗りたがるのと同じように、この映画を何度も観返してしまうのです。