粘りつく面白さ!村上龍の小説ベスト5

僕は村上龍の小説が好きです。
村上龍といえば、メディアでの露出も多く、その炯眼をもって様々な問題に取り組んでいることでも有名です。
それでも、彼の本質はやはり小説家で、小説でこそ本領を発揮するのではないでしょうか。

村上龍の小説といえば、体液やら粘液やらといった、粘りつく液体のイメージがあります。
どの小説を読んでも、ねとつく体液の描写が執拗に繰り返されています。
村上龍の書く小説は、そんな体液や粘液の描写のように、しばらくするとまた読み返したくなる粘りつく面白さがあるように感じます。

今日は、村上龍の数ある小説の中から、読みやすく面白い作品を5つ厳選してご紹介します。
特に、まだ村上龍の小説を読んだことのない人に参考にしてもらいたいと思います。

  • 五分後の世界
    現在と5分ずれた別の世界では、未だ日本軍がアンダーグラウンドに身を潜めながら国連軍と戦争を続けているという、驚愕の戦争小説です。とはいえ、5分ずれた、という設定は単なるきっかけに過ぎません。この小説の面白さは、戦闘シーンの描写力にあります。段落分けもなく何十ページにも及ぶ戦闘シーンは、思わず息を呑む迫力です。必読!
  • ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2
    『五分後の世界』の続編として書かれました。状況設定は同じです。が、5分後であることの説明がなく、登場人物も異なるので、『五分後の世界』から先に読むことをおすすめします。こちらも圧倒的な描写力で迫ってきますが、それは戦闘シーンよりもウィルスによる危機感として表現されています。
  • 69 sixty nine
    村上龍の代表的青春小説。掛け値なく面白い!肩の力を抜いて楽しめます。映画化もされましたが、まずは小説でその面白さにハマってほしい。余談ですが、先日、いつも髪を切ってもらっている美容師さんと小説の話をしていると、「村上龍の小説って難しいですよね?」と言われたので、この作品を読んでみるように勧めました。ばっちりハマったみたいです。
  • テニスボーイの憂鬱
    『69 sixty nine』同様、明るい恋愛小説です。主人公のテニスボーイは横浜に住む土地成金の息子で、ステーキ店を経営している、いわゆるボンボン。一般人とは境遇がまったく違うのに、頭の中で考える妄想や自己弁護は俗物そのものです。男なら、まるで自分の考えを表現されているかのように感じることでしょう。「人生はシャンペンだけだ」という言葉の真意を探ってみてください。
  • イン ザ・ミソスープ
    一時期、村上龍がサイコホラーものの小説を何作か書き始めました。その真意は分かりませんが、読み物としてさすがに面白ので、代表的なものを取り上げておきます。貴志祐介など、他のサイコホラー作家の書くものに比べると、恐怖の度合いは低いのですが、村上龍らしい粘りつく描写の力は健在です。

今回は、読みやすさと面白さにこだわって、村上龍の小説を選びました。
なので、『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカー・ベイビーズ』、『イビサ』、『トパーズ』などの代表作はあえて外しました。
まだ村上龍の小説を未読の方は、ぜひ上に紹介した5作品から読み始めてみてください。