スキルを身につけるために忘れてはいけない1つのこと

History of

何かのスキルを身につけるというのは、あらためて言うまでもないことですが、とても大変なことです。
語学でもスポーツでも、どんな分野でも、スキルを習得するための近道なんてありません。

とはいえ、人は誰でもラクをしたがる生き物です。
だから、時間をかけずに簡単にスキルを習得できるかのようなセールスコピーに飛びつきがちになる。
かくいう僕も、Yahoo!やGoogleのリスティング広告で、そういった甘い売り文句に誘われたことは一度や二度ではありません。
でも、結局は、どれもスキル習得のアプローチ方法や過程に変化をつけただけで、自分自身が時間を削って継続的に努力をしなければなりません。

ということを前提として、スキルを身につけるために忘れてはいけない、と僕が考えることについてお話したいと思います。
「忘れてはいけない」といいつつも、必ずしも必要ではない場合もありますが。

結論から述べてしまうと、その分野の歴史を学ぶことです。

もちろん、学校の授業のように、順を追って細かに流れを学ぶということではありません。
ここでいう歴史を学ぶとは、言い換えると、自分がスキルを習得したい分野の基礎的な由来を得ておくということです。

例えば、小説を書きたいとしましょう。
小説の場合、日本語で文章さえ書ければ、誰でもある程度は書けてしまうように感じます(作品の完成度はともかくとして)。
しかしながら、使い慣れた日本語で書く小説でも、実際にはとても高度な技術を必要とします。
ただ文章をつなげるだけでは、読むに耐える作品は生み出せません。
練習に練習を重ねて、ようやく読めるレベルに達します。
ここでいう練習とは、現在に通用する技術や知識を習得するための努力であるはずです。

また、ある程度のスキルを習得すると、それをアレンジしてオリジナリティを出したいという欲にかられる人も少なくありません。

小説で例をあげれば、主人公を「あなた」にしてみたり、時間を逆行させてみたりと、様々な面白そうなアイデアを思いつくことでしょう。
でも、そういった表面的なテクニックは、すでに『ヌーヴォー・ロマン』と呼ばれる潮流の中で、徹底的に研究しつくされています。我々よりもずっと聡明な作家や哲学者に。
そういったことを知らずに、思いついた技巧を凝らすと、周りからはたちまち軽く見られてしまいます。
誰でも、人から軽く見られたいと思う人はいないでしょう。
であれば、自分がふと思いついたアイデアについて、誰かが実践していないかどうかくらいのことは調査しておかなければいけません。
その調査が、歴史を学ぶということです。
歴史を知らないと、自分では技術を発展させたつもりでも、実は退化(逆行)してしまっているということが少なからずあります。

現在の技術や知識は、過去の積み重ねから成り立っています。
そういう時代に我々は生きています。
だからこそ、歴史を学ぶ必要があると思うのです。
これは、どんな分野においても言えることではないでしょうか。

余談ですが、森鴎外は英語を修得するために、その語源となるラテン語を学んだそうです。それが最も近道だと判断したためです。
だからといって、語学習得のためにその歴史を深掘りしなさいというわけではありませんが、その成り立ちを知っていれば、さらに理解が深まるのではないでしょうか。

WEBサービスにおいても、近頃インフォグラフィックというものをよく見かけます。
Facebookページも、タイムラインが大きく表示されるようになりました。

繰り返しになりますが、学校の授業のように歴史を学ぶ必要はありません。
少なくとも、いま自分が取り組もうとしている部分について、その歴史を頭に入れておくと、必ずプラスに働くと僕は考えます。

知らないことは恥ではありませんが、歴史を知らないことは、時には自分の評価を下げてしまうことにつながるのではないでしょうか。