抜き書きする読み方 ~ 佐藤優著『読書の技法』を読む

読書の方法について書かれた本はたくさんあります。
なぜこんなにたくさんあるのかと思うほど、たくさんあります。
それだけ多くの人が、自分の読書法を心許なく感じているからなのでしょうか。
いずれにしろ、他人の、とりわけ著名人の読書法に関心をもつ人が、それだけ多いということなのでしょう。

ここで取り上げる『読書の技法』も、『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』などで著名な佐藤優氏による読書本です。
佐藤氏ほど聡明で語学力にも秀でた才人が、どのように本を読むのか。

通読して、まず印象に残る内容が2つあります。
その2つを軸に、『読書の技法』のレビューをまとめてましょう。

◯ 熟読するべき本を選別するために速読する

本作の中で佐藤氏は、速読には2種類あると説いています。
それは、「超速読」と「普通の速読」です。

1. 超速読

「超速読」とは、一冊の本を5分程度で流し読みすることです。「試し読み」とも言い換えられています。
佐藤氏は、この「超速読」には、次の2つの目的があると述べています。

①本の仕分け作業
②本全体の中で当たりをつける

その目的を踏まえて、まず「超速読」をして、本を次の4つの範疇(カテゴリー)に分けるのだと言います。

①熟読する必要があるもの
②普通の速読の対象にして、読書ノートを作成するもの
③普通の速読の対象にするが、読書ノートを作成するには及ばないもの
④超速読にとどめるもの

「超速読」をするときに大切なことは、ペンで印をつけるなりして、本を汚く読むことだそうです。
つまり、立ち読みでは「超速読」を完遂したことにはなりえません。

2. 普通の速読

「超速読」に対して、「普通の速読」は、一冊の本を30分程度で通読し、その読書ノートを30分かけて作成する読み方だと説明されています。

佐藤氏は本作で、繰り返し読書ノートの重要性を説いています。
詳しくは次に述べますが、この読書ノートこそが、佐藤氏が読書法を一冊の本にまとめた根拠なのだろうと忖度できます。

◯ 読書ノートを作って、本の内容を抜き書きする

 本を読み終えてしばらく経つと、何が書いてあったかということの記憶が薄れてしまう。いかによい内容の本を読んでも、その内容が記憶に定着せず、必要なときに引き出せなければ意味がない。(中略)
 この点を改善するには、読書後30分かけて補強作業をするとよい。

読書ノートの作成にあたって、佐藤氏はこのように前置きしています。
さらには、読書ノートを作成しない読書を「ゆるい形で本を読む習慣」と言い、記憶が定着しないと指摘します。

今さらとりたてて主張するまでもなく、読書ノートの重要性を説いた著書はたくさんあります。
が、あらためて佐藤氏の読書ノートについて知ることには、少なからず意義があります。

さて、肝心の読書ノートの作り方ですが、特に難しいことはありません。
心がける点は、2つだけです。

1. 抜き書きする

読んでいて重要と感じた箇所を、そのままノートに書き写します。
どの部分を重要と感じるかは、読者によって様々なので、そこで悩む必要はありません。
重要と感じた一節を書き写せばいいのです。

2. コメントを書き添える

単に抜き書きするだけでは、筆写で終わってしまいます。
もちろん筆写にも意味はありますが、読書をさらに自分自身の血肉にするためには、コメントを書き添える作業が必要です。

ここで、コメントの書き方で悩むことはありません。
「コメントに書くことが思い浮かばない」という相談に対しても、佐藤氏は、「賛成、反対」「違和感がある」「理解できる、できない」程度でかまわないと述べています。
抜き書きした一節に対して、何かしらの「判断」を自分で下すことが重要なのです。

◯ 自分だけの読書ノートから、共有する読書ノートへ

読書ノートは、手描きでもデジタルデータでもかまいません。
佐藤氏は手書きでノートにまとめているようですが。

デジタルデータで読書ノートを作成する方法は、いくつかあると思います。
テキストエディタやWordで自分のパソコンに保存しておいたり、Evernoteやブログなどでオンライン上に保存しておくのもいいでしょう。

その手段のひとつとして、『パラグレーズ』が活用できます。

自ら運営しているWEBサービスをここで持ち出すことに興醒めされることを恐れずに書きますが、『パラグレーズ』は、まさに抜き書きする読み方に適したツールとなりえます。

書き写しておきたい一節を入力し、それに対するメモも書き込めます。
さらには、一般に共有し、みんながどの部分を抜き書きしているのか参考にしたり、コメントを書き込むこともできます。
もちろん自分だけの読書ノートにしたければ、「非共有」に設定しておくこともできます。

自分だけの読書ノートから、共有する読書ノートへ。

それが、『パラグレーズ』を始めた理由であり、理想のかたちです。

パラグレーズ』では、佐藤氏のノートのように仕事のスケジュールや日記までは書き込めませんが、読んだ本の抜き書きとメモを簡便に行うには使えるツールとなるのではないでしょうか。
手前味噌ながら、そう自負しています。

ここまで書いたレビューは、佐藤氏の『読書の技法』の前半部分までにすぎません。
後半には、知識習得の技法や、小説や漫画の読み方など、瞠目の内容が具体的に明かされています。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』の読書ノートリスト(Paragrase “パラグレーズ”)