愛すべき荒唐無稽 ~ 『レイダース 失われたアーク』を観る

インディ・ジョーンズのシリーズ4作品がまとめてブルーレイ化されるらしい。

しかも、藤岡弘、氏をたててPRイベントも催されたとのこと。

過去の名作が美しい映像と音声で復刻するのは、とても喜ばしいことです。

一日でも早く、すべての映画が復刻すればいいと思ってます。

そもそも、DVDやブルーレイとして復刻させる作品は、どうやって選ばれているのでしょうか?

「もっともっと先に復刻させてほしい作品が山ほどあるのに!悔しい!」と、歯噛みすることが一度や二度ではない僕にとっては、真面目な疑問です。

このインディ・ジョーンズシリーズにしても、なぜこのタイミングなのか?

聞いたときは、新作でも公開されるのかと思いました。

唐突に『インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ』発売と言われても、感想の返しようがありません。

ただただ、「やっぱり荒唐無稽だなぁ」と呟いてしまうのみです。

この「やっぱり荒唐無稽だなぁ」という呟きは、『レイダース 失われたアーク』を観ながらも、絶え間なく僕の口から漏れ続けていました。

本当に荒唐無稽すぎて、合間合間に挿入される会話の内容がさっぱり頭に入ってきません。

これは問題です。

だから、ジョーンズ博士がなぜ命をかけてまでナチスと競ってアークを手中におさめようとしているのかも、実はよく分かりません。

アメリカ国家とナチスが競って奪い合っているのだから、きっと軍事的なお宝なのだろうということは薄々気がつきますが。

なにより、あらゆるシチュエーションがジョーンズ博士に都合よく運びます。

あまりに都合がよすぎて、実はジョーンズ博士は何ら実力がないダメ男なのではないかと思わされるほどです。

地下に潜れば罠にハマり、颯爽と現れたかと思うとあっけなく捕獲される。

そして、ピンチに陥るたびに臆面もなくみせる、あの情けない表情。まさに泣きっ面に蜂という顔つきです。

それでも、ジョーンズ博士は常人離れした強運の持ち主で、どんなに絶体絶命なピンチであろうと必ず救われます。

すべてが“僥倖”のひとことで片付けられるかのようです。

映画で僥倖を重ねたら、それはもう荒唐無稽としかいいようがありません。

しかも、スクリーンの中で、ダメ男が荒唐無稽な状況に振り回されて情けない顔をみせていたら、これはもう大きな心で愛するしかないではないですか。

そんなジョーンズ博士が、忘れた頃にまたひょっこり現れたら、「分かった分かった」という親心で迎えるしかありません。